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2013年 12月 26日
脳の機能
脳はわたしたちの 生命活動の 全てをつかさどる。 もちろん知的活動の 全ても。 父はその一部に 機能障害を負った。 脳には可塑性があり 失われた機能を 本来とは別の部分が 代替えして補う努力を、 損傷や何らかの問題が 生じるやいなや ただちに開始する。 しかし完全な修復と 回復を願うのは 高望み以外の何物でもない。 一か月の間 父のベッドの傍らで 一番つらかったのは 旺盛だった 知的好奇心の 霧散消失を 目の当たりに したことだった。 無理もない。 それくらい大きいダメージを 実際に負っているのだから むしろ当然のこと。 父はリタイア後に 少しかじったことのある 中国語の勉強を再開し、 シニア協力隊で中国に ボランティアで派遣され 半年間、現地の小学生たちに 囲碁を教えたこともある。 ベッドに横になったまま ときどき右手の人差し指と 中指を交差させ ぱちりと石を置く動作をする。 「定石の本でも 持ってきましょうか?」と たずねると 首を振るばかりだ。 「いや、今はいい」 TVの音をいやがり 好きだった番組を 見たいとも 言わない。 読みもの、文字を目で追うことも 望まない。 音楽も聴きたがらない。 私にはこの現実が 父が臥せっていること以上に 少なからず衝撃だった。 父自身が それらの刺激を 今は心地よいとは 感じられないのだろうと 推量する。 帰宅の途中 5つくらい前の駅で降り ひたすら歩く。 歩きながら 避け難い 人として生きるにまつわる あれこれを思う。 ずんずんと 歩き続けて 道沿いの、街灯を 数え疲れた頃 くたくたと 玄関にたどり着き 私は諦念ではなく かなしみでもない 現実というものを そっと自分のあしもとに 見下ろす。 私は 老いとは 何たるかのごく一部を 初めて 本当に 理解したような 気がする。 クリスマス・イブに 父は車椅子に乗ったサンタよろしく リハビリ施設を併設した病院へ 無事に転院した。 まずは今日。 そして明日。 すこしずつ生活への 意欲も目覚め 無理なく上手に からだのさまざまな姿勢の バランスをとれるように なっていってほしい。 母は 「拾った命。どうか大切にしてくださいな」と 父の額に手をやり くるりと頭をなでながら言った。 父は頷く。 もし再び 石を手にするときは まず五目並べから 私がお手合わせをしてみよう。 きっと私の豪快な へまと負けっぷりに 笑い出すことだろう。
by windtalker2008
| 2013-12-26 19:36
| 徒然
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Comments(2)
Commented
by
neko-no-mori at 2013-12-27 00:18
今はじっと我慢だね~。
あきらめずにリハビリすること。 バレエと一緒。時間がかかるね~。 焦らないでね。時間薬だよ。
0
Commented
by
windtalker2008 at 2013-12-27 04:51
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