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2013年 11月 25日
体力勝負
体力テストみたいだ。 まんじりともせず 時計だけが しずしずと カチコチと 勝手に時間を進めていく。 そのうちに それが早いのか 遅いのか 感覚がじんわりと 溶解してしまうような 不思議な 解釈しようもない地点に すとん ことりと 着地している。 必ず届けと 耳もとで精一杯の気合をこめて 「わかる?」と呼びかけた。 固くつぶった瞼が ふわりとほどけ ゆっくりと しずしずと 幕が上がるように そっと両目が開く。 瞳は灰褐色に見えた。 そして、その声は 全身から発せられた。 かすれたちいさな そのひとこえ。 どれだけのパワーが 必要だったろう。 あらんかぎりに ふりしぼるように 二つの音節に しっかりと区切って 私の名前を 呼んでくれた。 ただいとおしいという 気持ちだけが ぱたぱたなみだといっしょに あふれてころがりおちる。 ありがとう。 私は幾度となく この愛情をこめた よびかけといっしょに 今のいままでが あったことを 実感した。 瀬戸内寂聴訳の『源氏物語』の 文庫本をポケットに突っ込み ぽつりぽつりと 数年ぶりに 読み返す。 なにかせずにはいられない。 それが何か わかっていなくても。 何もしないことは たえがたい。 眼が文字を追いながら もうひとりの考え込む自分を 駆逐できずにいる。
by windtalker2008
| 2013-11-25 23:30
| 徒然
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